チェイサー



どうも、松本です。

今回は映画『チェイサー』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。



【概要】

『チェイサー』(朝: 추격자)は、2008年公開の韓国映画。ナ・ホンジン監督の長編デビュー作品。2004年に韓国で起こった、ユ・ヨンチョルによる連続殺人事件をベースとしている。


【あらすじ】

デリヘルを経営している元刑事のジュンホは、店の女の子たちが相次いで失踪する事態に見舞われていた。やがて最後に会ったと思われる客の電話番号が同じ事に気づくジュンホ。そして、その番号は直前に送り出したデリヘル嬢ミジンの客とも一致していた。ほどなくミジンとの連絡が取れなくなり、心配したジュンホはミジンの行方を追う。そして、偶然にも街中で問題の客を捕まえることに成功したジュンホは、男をそのまま警察に突き出すのだったが...


この映画は『哀しき獣』や『コクソン』のナ・ホンジン監督作品です。


監督が監督ということで、内容も内容です。しっかりと韓国サスペンスクオリティーしています。


暗くて陰鬱で残酷で血もいっぱい出る、そんな韓国サスペンス映画を好きな人の期待はしっかりと叶います。


今回もめちゃくちゃ嫌な気分にさせてくれます。


個人的に韓国サスペンスの三種の神器と言ったら、


①血まみれの女(大抵は黒髪で細身な美女)、


②凶暴な主人公(大抵は死んだ目をした中年刑事)、


③気持ちの悪い凶悪犯(古谷実の漫画に出てきそうな見た目で犯行は場当たり的なのに意外と知能犯)、


なのですが、この映画にもしっかりそれらは登場します。


韓国サスペンスというのは、どの映画も毎回同じようなシチュエーションであったり、ビジュアルであったりする場合が多いのですが、あの手この手で期待を裏切り、予想通りにいくことはほとんどありません。


それでも毎回満足してしまうのですからさすがとしか言いようがありません。


とにかく韓国映画は鑑賞する側の予想を裏切ることに全力をかけている節があり、そのためなら多少整合性などを犠牲にしてでも超展開をぶち込んできます。


そういう部分も韓国サスペンスの魅力の一つだと思います。


そういう意味でもこの映画は120点満点の韓国サスペンス映画だと思います。


韓国サスペンスのすごいところは、期待値が毎回相当に高いのにそれを必ずと言っていいほど上回ってくることだと思います。


低品質なものは海を渡って海外に行かない、という部分を考慮したとしても、血みどろサスペンスのジャンルでは韓国は世界屈指のレベルであることは間違いありません。


とはいえ私自身もう何本も韓国サスペンスを見ているので、こちらの予想を裏切ってくるという部分も含め、ある程度展開の先読みができたりするのですが。


この映画も実際、この先こうなるだろうなと予想できるシーンが要所要所にあるのですが、見事に全ての予想を裏切られました。


映画冒頭の部分なのでネタバレにはならないと思いますが、この映画はすでに冒頭の時点で犯人は分かっており、そしてすぐに逮捕されます。


冒頭でもうすでに事件が解決しているのにどうストーリーが展開していくのか、その部分がこの映画の見どころの一つでもあります。


韓国サスペンスの安心できないところは、韓国の警察署というのは犯人を逮捕しても簡単に出たり入ったりするところ。


映画によって手段は合法であったり非合法であったりするのですが、どちらにしても韓国サスペンスにおける犯人逮捕はそこまで安心できるものでなかったりします。


そういう部分の警察のザルさというのもある意味韓国サスペンスの名物だったりします。やばい物が映らないように取り調べ室の監視カメラの向きを変えるなんてシーンも同じく名物だったりしますが。


とにかく韓国サスペンスというのは何が起きても変じゃない世界観なので、今回も超展開や最悪の偶然とも言える展開が目白押しです。


最後の最後まで安心できず、そして絶妙に嫌な気分を味わわせてくれます。


そしてこの映画のラストは最低最悪のラストとなるのか?それとも多少なりとも救いのあるラストになるのか?


そもそも韓国サスペンスを見る時点で誰もハッピーエンドなんて予想はしていないと思いますが。


果たして今回はどうなるか?


映画における過剰な期待というのは大抵の場合、あまり良いものではないかと思います。期待値が高くない方が許容範囲も楽しみ方も広がりますし。


私個人としてはそういうタイプなのですが、この映画についてはどんなに期待値を上げて見ても問題ないかと思います。


その期待値をどれだけ上回るかは別として、とにかく残念な気持ちになるような肩透かしな映画ではないので。


それだけの映画を長編デビュー作で撮れてしまうナ・ホンジン監督も、かなり恐るべしなのですが。


この映画以降も同様のレベル、もしくはそれ以上の映画を撮り続けていますし。


韓国サスペンスが好きな人はいつものスタンスで問題無し。逆に見慣れていない人はグロや胸糞展開には少し警戒してご覧ください。その手の要素については他国のサスペンスの比ではないので。


というわけで今回はこの辺で。 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。



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