ヘレディタリー/継承



どうも、松本です。

今回は映画、『ヘレディタリー/継承』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『ヘレディタリー/継承』は、2018年のアメリカ合衆国のホラー映画。監督はアリ・アスター、主演はトニ・コレットが務めた。なお、本作はアスターの長編映画監督デビュー作である。


【あらすじ】

一家の年長者だった老女が亡くなり、残された家族は悲しみを乗り越えようとする。そんな中、家の中で怪奇現象が発生。さらに、故人が溺愛していた13歳の孫娘が異常行動をとり始め、やがて衝撃的な事件が一家を襲う…


概要にある通り、この作品はアリ・アスター監督の長編デビュー作品です。


この作品の凄まじいところは、この作品一本でアリ・アスター監督が天下を取ってしまったということです。


天下を取ってしまったというのは別に大げさな話ではなく、それくらいにこの映画は凄まじい映画で、そして公開直後にアリ・アスターという名前は世界中に轟きました。


多分、概要やあらすじだけではこの映画がどのように凄まじいかという部分についてはよく理解できないかと思いますが、もしまだこの作品を見たことがないのであれば一切のネタバレなしに見ることをおすすめします。


その方が純粋にこの映画からの衝撃を受けられると思うので。それこそ生涯にそう何度もあるものではないレベルの衝撃を。


ただしグロなどはもちろんのこと、不快な描写や衝撃的な描写が苦手な人にはおすすめできません。精神状態が不安定だったりする場合も同様。冗談抜きにこの映画は生半可なスタンスで見るとトラウマになってしまうレベルの映画なので。


私自身、この映画で相当な精神的ダメージを受けました。


私はホラー映画はそれなりに見ますし、不快描写やグロ描写などにもそれなりに耐性はある方だと思います。


自分で言うのもあれですが、その部分の耐性に関しては人よりも強い方だと思います。『ムカデ人間2』など、数々の特殊な映画で訓練されているので。


そんな私でさえ相当なダメージを受けたので、何も知らずに耐性のない人がこの映画を見たらトラウマは必至だと思います。


この映画、というよりもアリ・アスターという監督のすごいところは、見ている者の心を絶妙に不安定にさせる事だと思います。


とにかく絶妙に嫌な展開や不快な描写の連続。しかもそれらを意外な角度からぶち込んできたりします。


それらが絶妙に精神にきます。数々のホラーやグロや鬱映画を見てきた人間に対しても。意外と鍛えられていなかったノーガードな部分に絶妙に作用するような、そんな不快感満載の映画です。


この映画のキャッチコピーに「完璧な悪夢」とありますが、まさにその通り。


映画のキャッチコピーというのは素晴らしい場合もありますが、そうではない「何言ってんだコイツ?」みたいな場合も多々あると思うのですが、この映画のキャッチコピーに関してはまさにその通りと言わざるを得ません。


大袈裟でも何でもなく本当にこの映画は完璧な悪夢です。


それ以外のコピーにも「全米を凍りつかせた悪夢がついに上陸」、「この家族の物語はあなたの永遠のトラウマになる」、なんてものもありますが、それらもおおむね正確。ここまで言っても決して大げさというわけではなく、 むしろ映画の内容を考えると控えめとすら感じます。


おそらくこの映画を見たほとんどの人は人生で最高レベルの不安定さを感じられることだと思います。


胸糞要素や鬱展開としても間違いなく映画史に残るレベルです。


有名どころの作品で言えば『ミスト』、監督の傾向で言うとギャスパー・ノエやラース・フォン・トリアー、クリント・イーストウッドなど。


その辺に慣れていたとしても相当に心をえぐられたりします。


まさに不快指数の天元突破。その手の映画や展開が好きな人にはめちゃくちゃにおすすめです。


逆にそのような要素が少しでも苦手な人にとっては激毒でしかないので、この作品はおすすめしません。というよりもアリ・アスター監督作品全般はおすすめできません。


アリ・アスター監督のすごいところは、それだけの凄まじい要素をこの映画に詰め込みながら、映画としても素晴らしいまでの完成度にしっかりと成立していることです。


目を背けたくなるような描写とうんざりするような陰鬱な展開が二時間以上も続くのにも関わらず、その長さを感じさせず最後まで見れてしまうのですからさすがとしか言いようがありません。


だからこそアリ・アスターという監督はこの一本の映画で天下を取るに至ったのでしょう。


とにかくホラー映画として、この映画が一つの転換点となることは間違いなく、歴史的な作品と言っても決して大げさではないかと思います。


ひとまず精神的に問題がないのであれば、映画として一度は見ておいても損はない作品だと思います。過激さだけが売りの映画ではなく、作品としての質も相当に高い映画ですので。


逆に単純な過激描写だけならおそらく精神的なダメージはほとんど受けないと思うのですが。むしろ誰もが鍛えようのないところにテクニカルに打ち込んでくる絶妙な不快さや不安定さこそがアリ・アスター という監督の真骨頂なのかもしれません。


ちなみにこの作品の後に監督した『ミッドサマー』についても世界中で話題となりましたし、これまたこの作品に勝るとも劣らないレベルの凄まじい作品です。


とにかくアリ・アスターという監督は今、世界中で注目されており、新作を作ろうものなら間違いなく話題となります。


なので何も知らずに妙なタイミングでノーガードで見てしまい、一生もののトラウマを負ってしまうという事故を防ぐためにも、アリ・アスターという監督がどのような映画を撮るのか、この映画で学習しておくというのもありかと思います。


一度見たら決してアリ・アスターという、その監督の名前は忘れられないはず。


この映画で忘れられないのは監督の名前だけでなく、アレックス・ウルフという俳優の名前も同様。


とにかくこの映画のアレックス・ウルフは圧倒的。


特にこの顔。この顔とこのシーンでこの映画の全てを持っていってしまったと言っても決して大袈裟ではないと思います。


公開から数年間は、「アレックス・ウルフ」で検索するとこの画像ばかりが表示された時期もありましたし、今もアレックス・ウルフ やヘレディタリーで検索すると、この画像が一枚は出てきます。ネットの一部ではちょっとしたミーム化もしていたりします。


この顔にはそれくらいの凄まじさがあります。映画史に残る顔、と言っても決して大げさではないかと思います。


例えば『ターミネーター2』でダイソンが爆死する寸前の顔を多くのファンが今でもすぐに頭に思い浮かべられるように、『シャイニング』のジャック・ニコルソンが扉から覗かせた顔は最早シャイニングという作品よりもジャック・ニコルソンという俳優よりも有名になっていたりするように。


この作品のアレックス・ウルフのこの顔も、それらと並ぶくらい歴史的な顔だと思います。


正直このシーンのこの顔を見るためだけにでも、この映画を一本見る価値はあるかと思いますし、 実際そのために私も何度もこの映画を見ています。


世間一般的にはアレックス・ウルフと言ったらリメイク版『ジュマンジ』やM・ナイト・シャマラン監督の『オールド』などのイメージが強いかと思いますが。


ヘレディタリーを見た人にとってアレックス・ウルフは圧倒的にこのイメージなんじゃないかと思います。下手するとこれから何年何十年経ってもアレックス・ウルフと言ったらこの顔となってしまう可能性すらあります。


そのような見どころも少なからずありますので、前述したような視聴に関する問題がないのであれば一度は見ておいて損はないかと思います。


アリ・アスターという監督はおそらくこの作品を見た一部の人間にとってはもう一生関わり合いになりたくない映画監督かと思います。


しかしながら一部の人間にとってはこれから一生お付き合いすることになる映画監督となるんじゃないかと思います。


というわけで今回はこの辺で。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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