レイジング・ファイア



どうも、松本です。

今回は映画『レイジング・ファイア』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『レイジング・ファイア』は2021年の香港・中国合作映画。2020年8月に逝去したベニー・チャン監督の遺作となった。


【あらすじ】

長年追い続けてきた凶悪犯ウォンとマフィアの麻薬取引現場に踏み込むはずだった警部チョン。ところが、直前になってチョンのチームは作戦から外され、警察の動きを熟知した何者かが、捜査官たちをウォンの一味もろとも惨殺する。捜査線上に浮かび上がったのは、4年前に起きたある事件を発端に復讐心を燃やすチョンの元部下だった…


この映画、めちゃくちゃ好きな映画です。というより少なからずアクション映画が好きな人間でこの映画が嫌いという人はいないのではないでしょうか?


それくらいに魅力のぎっしり詰まった素晴らしい映画です。ツッコミどころや隙が全くない万能型の映画。


『HEAT』と『ダイ・ハード』と『ポリス・ストーリー』を足して割ったような、と言えばこの映画の魅力が少しは伝わるでしょうか?


まさに大人のお子様ランチ。


ここまで没頭して夢中になれた映画というのも中々無いかなと思います。


この映画に対する個人的な印象。それは香港映画全部乗せ。


80年代から90年代の香港映画に慣れ親しんだ世代にとっての全てがこの映画の中にあると言っても過言ではないかと思います。


香港ノワールからド派手なアクション、銃撃戦、肉弾戦、胸熱展開から爆発、カーチェイスに至るまで。


香港映画全部乗せ。そしてアクション映画としても全部乗せ状態だと思います。


それだけの要素を詰め込んだらちょっとバランス的におかしくなってしまったり、無駄に尺が長くなってしまったり、どこかしらおかしな部分が出てきてしまったりするのですが、この映画はそれら全ての部分が見事に調和しており、奇跡的にと言ってもいいくらいのバランスで一つの映画として成立しています。


昔の香港映画のように、ここぞというアクションシーンなどでこれ見よがしなスローモーションは使ったりしないのですが、もしそのような演出を使っていたらアクションシーンの大半がスローモーションになってしまうくらいにアクションシーンのレベルは高いです。


個人的には古典的なスローモーション演出も大好きなのですが、最近の映画はそういうとんでもないアクションシーンもさらっとやってのけちゃうんですよね。


ちなみにレイジング・ファイアには同僚の死、裏切り、人質、爆弾解除、一見堅物に見えるも実は物わかりの良い上司、のようなアクション映画におけるある種の定番要素もしっかり入っています。そういう部分もしっかり全部乗せ。


この映画の上映時間は126分と、映画としては決して短い尺ではないかと思いますが、多くの部分をアクションシーンが占めているので長さを感じることはほとんどありません。体感は90分くらいです。


お金もしっかりかけて作られているので前半から出し惜しみなしのアクションシーンの連続なので退屈したりダレたりもしません。


本当にあっという間の126分でした。


ちなみに120分程度の尺に収めるために相当シーンを削ったらしく、3時間バージョンも存在するそう。もしかしたらそれが世に出るかもというような話も出てるので、今後の展開にも大いに期待ができます。


これだけの満足感を得られたアクション映画というのは本当に久しぶりのことだと思います。それは私個人の香港映画への思い入れというのもあるのかもしれませんが 。


かつて夢中になってジャッキー・チェンの映画を見たあの頃の感覚を久しぶりに思い出すことができました。


ちなみにジャッキー繋がりで言うと、酔拳2のラスボスで有名なロー・ワイコンも出演しています。


本当にあらゆる要素で最高なものを手当たり次第に詰め込んだのに、しっかりとバランスが取れているレイジング・ファイアは本当に稀有な映画だと思います。


普通ならどこかでバランスが崩れてしまったりしますし、それでも内容が伴うなら全然ありだったりするのですが。


本当によくまとまったなと感心する他ありません。そんな内容だからこそカットされた部分がどのようなシーンかというのが気になるので、3時間の完全版はぜひ見てみたいものです。


おそらくレイジング・ファイアを見た多くの人は市街での銃撃戦のシーンでHEATを連想するのではないかと思います。


私も同様にHEATを連想して大興奮しました。市外での銃撃戦のシーンは見どころばかりのこの映画の中でも特に見所の一つです。


それ以外にも『ダークナイト』を彷彿とさせるシーンなども個人的にはあったりしました。この映画も最高ですが、彷彿とさせる映画もいちいち最高だったりします。


アクションも、そのいぶし銀な魅力も相変わらずのドニー・イェンですが、ヴィラン役のニコラス・ ツェーもかなりいい仕事をしています。


マイク・タイソンやジョン・ウィック相手にも引けを取らなかったドニー・イェン相手のヴィランというのはなかなか大変なものかと思います。


実際普通に戦ったらドニー・イェンの圧勝だと思うのですが、ドニー・イェンは何かと制約のある正義の側、一方のニコラス・ツェーは何でもありの悪の側。


その部分で悪知恵を働かせてあれやこれやとやらかすのですが、その部分がまさにヴィランといった感じで、控えめに言っても最高です。単なるかませ犬でも悪役でもなくヴィランとして。


残念ながらこの映画がベニー・チャン監督の遺作となってしまいました。


香港映画やジャッキー映画を見て育った人間としては数えきれないくらいにお世話になっている監督で、その早すぎる死は残念でなりません。


監督もキャストもその内容も含め、私にとってこの映画はこれぞ香港映画といった内容の映画でした。


令和のこのご時世にそのような映画が見れるとは思ってもいなかったので本当に驚きました。


私が初めて見た香港映画は香港がまだイギリス領であった頃に作られたもので、その後に慣れ親しんだ映画は返還後の香港で作られたものでした。


今は香港はとても複雑な状況であり、少なくともかつての香港ではなくなってしまったことは間違いありません。


この先香港という土地がどのようなことになるのかまだ分かりませんが、このレイジング・ファイアという映画が最後の香港映画にならないことを願うばかりです。


というわけで今回はこの辺で。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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