アンカット・ダイヤモンド

 


どうも、松本です。

今回は映画、『アンカット・ダイヤモンド』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『アンカット・ダイヤモンド』は、2019年のアメリカ合衆国のクライム・スリラー映画。主演はアダム・サンドラー。


【あらすじ】

口先だけで生きてきた宝石商のハワードは商品の宝石を盗まれ多額の借金を抱えることに。窮地に立たされた彼は起死回生の一手を狙う…


この映画の配給は、これまで数々の地獄のような映画を世界中にばらまいてきたA24です。ということでまともな映画ではありません。


もちろん映画としてはとても優れた内容の作品ですが、万人におすすめできる内容ではありませんし、賛否も激しく分かれるかと思います。


特にこの映画は無理な人は本当に無理、大嫌いというタイプの映画かと思います。


とはいえこの映画は特別超自然的な現象が起きたり、人外が登場したりすることはありません。主人公は生物学的には普通の人間ですし、舞台も現代のニューヨークです。


A24配給の映画としてはパッと見のビジュアルやあらすじなどがちょっと地味に感じられてしまう人もいるかと思いますが、内容については決して地味なことはなく、むしろ他の映画では味わうことができない、いい意味での鑑賞ストレスや絶妙な不快感を味わうことができます。


前述した「主人公は生物学的には普通の人間」、という部分ですが、この映画の主人公は身体構造的には普通の人間ではあるのですが、精神構造的には普通ではありません。


言ってしまえば口先だけで生きているクズ中のクズ。しかしながらそのクズっぷりがとてもリアル。程度の差はあれど都会の繁華街にはよくいるタイプの人間だったりします。


まあそんな人間が平穏無事にずっと生きていけるかと言ったら決してそういうわけではなく、むしろ人生終わりかけてます。


既に映画序盤で尻に火がついている状態。それがどんどんと燃え上がっていきます。もちろん当人もそれを何とかしようと必死に右往左往。


しかし状況は悪化する一方。そんな状況に正気も徐々に削がれていき… そうやって泥沼にはまっていく様がもう本当にリアル。


とにかくのっけからラストまで胃に穴が空きそうな展開の連続です。


過去に借金などをしたり、経済的にやらかしたり、ギャンブルやガチャの泥沼にはまったり、そんな経験のある人間にとっては相当に身につまされる展開の連続です。


ここまで来たらもうやるしかない…今更後戻りは もうできない…程度の差はあれ過去に同じような経験をしていると分かりたくなくても分かってしまう 。


だから余計に見ていると辛いのですが、しかしその部分の綱渡りからは目を離せない。


そういう部分のハラハラ感や綱渡り感はカイジに少し似ている部分もあるかと思います。


似ている部分があると言ったら2021年公開の『ボイリング・ポイント/沸騰』 ともよく似ています。


それらの作品が好きな人にとってこの映画はとても相性がいい映画かもしれません。


とにかくこの映画は見る人の趣味嗜好や、前述の過去の経験などによって全く違った見え方をするので、賛否は激しく別れるかとは思いますが。


とはいえ借金で首が回らなくなったおっさんが右往左往するだけの映画をなんやかんやで最後まで見れてしまうのですから、やはり映画としての質は相当に高いのだと思います。


とにかくこの映画は内容が内容であり、主人公の人格も人格なので、とにかく鑑賞ストレスが大きいです。


それは簡単に言ってしまえばハラハラドキドキという感覚なのですが、ただそのハラハラドキドキも単純な娯楽としてではなく、それこそ鑑賞ストレスと言っていいくらいに絶妙に不快なものだったりします。


人によってはイライラしてしまったりもするでしょう。


それだけ不快なのに目が離せない。もうのっけから綱渡りの連続なので最高に不快なのだけれど、とはいえ見始めたのだから結末を見届けざるを得ない…みたいに、もう後戻りはできない主人公と同じような気分になってしまう部分もあったり。


他の映画ではなかなか味わうことのできない上質な鑑賞ストレスを味わうことのできる映画です。


ただ鑑賞ストレスを味わうだけの映画なら多々ありますが、不快ながら目が離せない映画というのはなかなかないと思います。


この映画はクライムドラマとカテゴリー分けされることが多いです。クライムサスペンスではなくあくまでドラマとして。


確かにドンパチや血しぶきも、猟奇殺人や未解決事件のようなサスペンス要素はありません。作中の展開はあくまでドラマの範疇で繰り広げられていきます。


しかし下手なサスペンスよりよっぽど手に汗握る展開があります。人によってはもう身に覚えがありすぎて全身に嫌な汗をかいてしまう場合もあるかと思いますが。


とにかくこの映画でしか得られない強烈な感覚というものが多々あるので、一つの映像体験として一度通っておいても損はないかと思います。


人によっては相当な不快感を感じたりする部分も多々ありますが、かと言ってトラウマ要素などはないので。


もちろん胸糞映画や鬱映画好きには間違いなくおすすめです。


目を離したいけど目が離せない、胃に穴が開きそうな130分を終えた後の間隔は本当に独特なものです。カタルシスというより解放感に近いような。


というわけで今回はこの辺で。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

Twitterで更新通知を受け取る

このブログの人気の投稿

ボーはおそれている

ウィッチサマー

ミッション:インポッシブル2