スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間
どうも、松本13です。
今回は、『スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間』についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間』は2013年製作の、アメリカのサスペンスホラー映画。生きながら徐々に身体が腐食してゆく女性の恐怖を描いた。
【あらすじ】
ある夜、パーティーで出会った男と行きずりの関係を持ってしまったサマンサは、体調を崩し性病に罹ったと思い込むが、その異変は想像を超えた酷いものだった。髪の毛が抜け、目は充血、そしてついには…
個人的にこの作品はかなりの拾いもの映画でした。
そこまで一般的な知名度もなく、Wikipediaにも載っていない。その手のホラー映画にはハズレが多いので、そこまで期待値は上げないで見たのですが、内容は大当たり。そういう意味では典型的な拾いもの映画ですね。
性病かと思ったらゾンビウイルスだった!というなんとも香ばしいストーリーの今作ですが、とはいえウイルスの感染経路としては割とリアルだったりします。
この映画はゾンビ映画にカテゴライズされるタイプの映画かと思いますが、ゾンビウイルスが蔓延した後の世界というような定番設定ではなく、むしろそうなる直前、パンデミックが起きるまでの話です。
なので作中ではゾンビウイルス云々などはまだ広く周知されておらず、性病だと勘違いしてしまうのもある意味仕方がなかったりします。
まあ髪の毛が抜けるというのもないわけじゃない。目の充血だって普通にあるでしょう。ただ体が腐り始めるのはさすがに無いだろ、となる訳なのですが、ここまで来てもまだ意識の方はしっかりあるんですよね。
ウイルス系のゾンビというのは割と噛まれてからすぐにゾンビ化したりしますが、この映画は感染からゾンビ化まで三日間と比較的長い時間がかかります。
その間にスタイル抜群の美女が目も当てられないようなゾンビへと変貌していくのですが、見た目はもちろんですが精神的にもだんだんとまともではなくなっていきます。
愛する家族がそうやって変貌していくのだけれども…みたいな感動系のストーリーはまだある方だと思いますが、今作品は感動要素ゼロ。むしろ陰鬱さしかありません。
主人公がゾンビ化するという時点でまずハッピーエンドはないかと思うのですが、その部分を抜きにしてもとても素晴らしい陰鬱さに満ちた映画です。
昨今のゾンビ映画はサバイバルアクション的な作品や、コメディタッチの作品が多いです。そうでなくとも割と楽に見れる映画がほとんどかと思います。
この映画はゾンビを題材とした映画ながらそのような作品とは対極をなす内容な作品です。
とにかく陰鬱という言葉がぴったりなストーリー。全体にわたってかなりジメジメしています。不快描写も多々あったり。人によってはそれこそトラウマになってしまうレベルの。かなりひどいです。何がどうひどいかは見ればわかるかと思いますが。
とにかく昨今のゾンビ映画にありがちなゾンビの頭を吹っ飛ばしたり、爆破したり、血がドバーっと出たりとか、そういうある種の爽快感のようなものはほとんどありません。
出血や人体破壊という部分より腐敗という部分に重きを置いている映画です。
なのでゾンビ映画としての期待はあまりしない方がいいかと思いますし、この映画についている低評価の何割かは映画の質ではなく期待と内容のミスマッチによるものかと思います。
逆に不快で陰鬱なホラーが見たいというような人にとってはこれ以上にない映画かと思います。
この映画がゾンビ映画ではないというのはあくまでも昨今のゾンビ映画に限った話です。
『バイオハザード』あたりから、ゾンビ映画がウイルス感染が主流のサバイバルアクションとなり、それ以前のようなホラージャンルとは少し違ったものとなりました。
それ以前の作品に関してはそこまで爽快感のある作品というものはあまりなく、おどろおどろしい内容のものが主流だったような気がします。
この作品のような陰鬱であったり不快であったりするような作品もかつては多く作られていました。
そういう意味では昔懐かしい感覚が味わえる昨今では稀有なゾンビ映画とも言えます。
この作品の絶妙に嫌な感じも後味の悪さも人によってはある種の懐かしさすら覚えるのではないかなと。
作中のあるシーンが印象的だったというのもありますが、私個人としてはこの作品全体を通した陰鬱さは古き良きルチオ・フルチの映画を彷彿とさせました。
そんな御託は抜きにしても普通によくできたホラー映画ですので、暗くてじめっとしたホラー映画が好きな人にはとてもおすすめです。
というわけで今回はこの辺で。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。