ザ・クーリエ
どうも、松本13です。
今回は、『ザ・クーリエ』についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『ザ・クーリエ』は2019年のアメリカ合衆国・イギリスのアクション映画。出演はオルガ・キュリレンコ、ゲイリー・オールドマンなど。
【あらすじ】
かつて特殊部隊最強と呼ばれながら、いまは運び屋としてひっそりと生きる女性。戦地で兄を失った彼女はその悲しみが癒えないでいた。そんなある日の配達中、彼女は巨大犯罪組織のボス、マニングスが殺人事件の証人ニックを消そうとする現場に居合わせてしまう…
この映画は評価のめちゃくちゃ低い駄作との呼び声も高い映画です。世間で駄作扱いされていても個人的にはめちゃくちゃ楽しめた映画というのは多々あるのですが、この映画に関しては個人的にも駄作だと思います。内容もめちゃくちゃつまらなかったです。
ただあまりにもよくできた駄作すぎて、むしろZ級映画としては優秀なのではないかなと思います。よくできた駄作というのもおかしな話なのですが。
とりあえず時間を無駄にしたい時や途中で席を立ったりしても、なんなら寝落ちしちゃっても問題ないような、そんな映画を見たい時はとてもおすすめです。
この映画はそういうスタンスで見るならば割と優秀なタイプの映画かと思うのですが、主演はオルガ・キュリレンコ、悪役にゲイリー・オールドマンという豪華キャスト。
元特殊部隊の凄腕が、証人保護のために悪と渡り合うというめちゃくちゃ面白そうなストーリー。
とにかく面白そうな要素しかないのにも関わらず、めちゃくちゃにつまらないところが逆にすごいです。
まあ多少期待はずれであったにしてもB級映画としてはそれなりに楽しめたよね、程度に落ち着くのが普通だと思うのですが、この映画はその程度の擁護すらできないぐらいにつまらない映画です。
とにかく面白くなりそうな要素しかないのに絶妙に面白くならない。それどころか見ているのもちょっと苦痛になってしまうぐらいにつまらないというのは逆にすごい事だと思います。
しかも極端に製作費をケチっているとかそういうわけでもありません。
低予算ではあるのかなとは思いますが、とはいえアサイラムレベルの映画というわけではなく、最低限のお金はかかっています。
全体的なストーリーに関してもそこまでひどいというわけでもありません。
一つ一つの要素を見ればつまらなくなる要素なんてそこまで感じられないのに、なのに全体を映画として見ると信じられないくらいにつまらない。
一部登場人物のセリフなども含め、脚本が壊滅的にダメだったのではないかなと。とにかく作中の人物が何かを語るたびにどんどんと映画の質が下がっていきます。だったら何も喋らない方が良かったんじゃと思うレベル。
アクションシーンについてもそこまで迫力満点というわけではないのですが。むしろかなりもっさり。
元特殊部隊の凄腕という割には大して強くはなく、手際も良くなかったりするのですが。
とはいえその部分は華奢な女性がヘビー級のマッチョな男性と渡り合うという部分を考慮すればある意味リアルではあったりするのですが。
どちらにしても アクションシーンについては他の要素ほど致命的ではないかと思います。
そしてなぜかゴア描写に関しては無駄に力が入っています。これは駄作映画あるあるだったりするのですが。クソゲーあるあるの「BGMだけはいい」と同じような。
この映画の脚本のすごいところは、オルガ・キュリレンコとゲイリー・オールドマンという役者のいいところを全て潰してしまっているところ。
ボンドガールを演じたオルガ・キュリレンコも、名悪役を何人も演じたゲイリー・オールドマンにしても、めちゃくちゃ面白い映画に何本も出ている名優です。
落ち目の俳優が低予算映画に出ているというわけではないバリバリの現役です。
ニ人ともとても華のある俳優ですし、演技力や存在感についても同様。
内容に多少難があったとしても、このニ人の名優の演技力や存在感だけでも90分程度なら持つはず、見れてしまうはずなのですが本来は。
しかしそのニ人の良さを全て台無しにしてしまうぐらい脚本がひどい。役者の良さをここまで殺す脚本というのは書こうと思ってもなかなか書けないんじゃないかとむしろ感心してしまうレベル。
オルガ・キュリレンコ演じる主人公は元凄腕特殊部隊員という設定ながら、毎回威勢よく飛び出していくけどボコボコにされる泥試合ばかり。
悪の親玉はゲイリー・オールドマン。本来ならもはやそれだけで勝ち確定なはずなのですが、びっくりするほどの魅力のなさ。
おそらくキャラ設定としては『レオン』の悪徳刑事のような、ちょっと情緒がヤバめのイカれた悪役だと思うのですが、セリフや描写が微妙すぎて、ただのアンガーマネジメントができていないヒステリーなおっさんに成り下がってしまっています。
そういう諸々も含め、とにかく思わず語りたくなってしまうような駄作要素がてんこ盛りの作品なのでZ級映画としては本当に優秀だと思います。
キャストにしてもビジュアルにしてもあらすじにしても、どう考えたって面白くなりそうなのに全く面白くない奇跡的なつまらなさとクオリティの低さ、そして名優の演技すら台無しにする脚本の酷さ。
見る側が抱く期待と実際の内容がこれほどまでに乖離した映画というのもなかなかないと思うので、そういう意味でも貴重な一作だと思います。
逆に駄作との前提で見れば最高に楽しめる映画だと思います。
この映画の敗因はどこをどう見ても駄作の臭いがしないので、視聴者の多くがそれなりに期待をして見てしまったということかなと。
とは言ってもまあ見てみたらそれなりに面白いんじゃないか?と思う人もいるかと思いますので、ぜひ一度この作品の駄作感を実際に味わってみてください。
普段はあっという間の90分がびっくりするぐらい長く感じられるはず。
というわけで今回はこの辺で。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。