コマンドーニンジャ
どうも、松本13です。今回は、『コマンドーニンジャ』 についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『コマンドーニンジャ』 は、2018年制作のフランスのアクション・コメディ映画。
【あらすじ】
かつて精鋭部隊・コマンドーの隊長として名を馳せたジョン・ハンターは、現在は軍を退役し、元妻のローリーとの間に設けた愛娘・ジェニーを想いながら山荘での静かな生活を送っていた。そんなある日、ハンターが暮らす山荘をかつての戦友ホプキンズ将軍が訪れ、謎の忍者軍団によりローリーは殺害され、ジェニーが誘拐されたことを知る…
この映画は80年代のハリウッド映画をこよなく愛するフランス人による自主制作映画とのこと。
個人的にはとても好きな映画です。傑作とまではいかないまでも良作には入るかなと。
この手の映画としては個人的に『ターボキッド』以来の大ヒットです。
ただ世間的には超低評価。星1つのレビューが多数。
星1つのレビューが多数って実際なかなかないと思うんですよね。相当スカスカな内容のサメ映画でも星2つとか3つが結構ありますし。
この映画は80年代ハリウッド映画ヘのオマージュやコメディーシーン満載の映画なので、というより様々な映画のコメディシーンをつなぎ合わせただけの映画と言った方が適切かもしれません。
なのでストーリーはほぼなし。一応それなりの筋はあるのですが、時系列があっち行ったりこっち行ったりして全く意味不明。『テネット』レベルについていけないレベル。
この映画のすごいところはストーリーが1つもわからないのにめちゃくちゃ面白いというところです。
ただこの映画を楽しむにはコメディやオマージュの元ネタを知っている必要があります。
その部分がわかるかわからないかで、この映画の評価は大きく分かれるかと思います。私としては最初から最後までほとんどわかってしまったので、この映画はかなり高評価。めちゃくちゃ楽しめました。
ある程度元ネタが分かったとしても、こういう内輪ネタのようなノリに批判的な冷めた声も多数あったりするのですが。
アクションシーンなどのクオリティの低さを指摘する声も多数。
それらの声はごもっとも。ごく一部の人しか盛り上がれないような内容だけで固められた今作は映画としてはどうかと思いますし、確かにクオリティの部分についてもお世辞にも高いとは言えません。
しかし作品全体に溢れる80年代ハリウッド映画に対する溢れんばかりの愛は、同じ愛を持つものとして心に響くものがあります。
原作愛に溢れまくっているし、めちゃくちゃリスペクトを感じます。とにかく80年代カルチャーが好きだということがとても伝わってきます。
ちなみに映画全体のクオリティとしてですが、個人的にはこの手の映画としては結構高い方なんじゃないかと思ったり。
なので私個人としてはクオリティについてはかなり高評価です。
確かに普通の映画と比べたらそれこそ学芸会レベルなのですが、ただZ級映画を多く見ている私としては、これよりもひどい映画は腐るほどあるので、この手の規模の映画としてはかなりよくできている方なんじゃないかと思います。
かけるべきところにはそれなりのお金はかけていますし、 そこまでの大金はかけてはいないかもしれないけれど、ただ手抜きはせずにそれなりの手間をかけて作ってはいると思います。
サメ映画だから、アサイラムだから、 みたいな開き直りとか手抜きって結構ありがちだと思うのですが、そのような開き直りを一切していないのも、とても好感が持てるところです。
確かにチープに見えてしまうシーンもあったりはしますが、それでも手間はしっかりかかっていたりします。
金はないかもしれない。ただし愛はある!そんな熱量が作品全体からひしひしと伝わってきます。
キャストにしてもこの手の映画にしてはそれなりにそれっぽい。
この手の映画にありがちな百戦錬磨のコマンドー なのに二の腕ぷよぷよみたいな、そのようなコスプレ感もなく、登場人物全員が一応それなりにはそれなりに見えたりもしますし、ちゃんとマッチョだったりもしますし。
私個人としてはこの映画については本当に大満足なのですが、特に素晴らしかったのはエンディングからCパートまでの流れ。
それまでのストーリーやクオリティについては賛否両論あるかと思いますが、エンディングからの流れについては、元ネタを知っている人でそこまで嫌いな人はいないのではないでしょうか?
そしてエンディングテーマが普通にかっこいい。
普通の映画の感覚としてはとても人にはおすすめできる代物ではありませんが、ただ同じ琴線を持つ人に対しては果てしなくおすすめできる、刺さる人には本当にぶっ刺さりまくる素晴らしい映画だと思います。
大半の人にとってそうではないからこその低評価の嵐という部分もあると思うのですが。
とはいえ私としてはこの映画は本当に好きで、今後も何回も見てしまうかと思います。
この手の映画でここまで愛着を持てる作品って実際そうはないと思うのですよね。
とにかくタイトルにしてもビジュアルにしても一見さんお断りなものなので、この映画に興味を持つ時点でそれなりに偏った趣味を持っていると思うのですが、
刺さる人にとってはとてつもなく素晴らしい映画になるかと思うので気になる方は是非一度見てみてください。
尺は一時間と少しなので、仮に刺さらなかったとしてもそこまでの拷問ではないかと思いますし。
この映画よりもずっと手を抜いたZ級映画でもストーリーやアイディアが優れている故にそれなりに評価されている作品もあったりします。
逆にこの映画はちゃんと拘ってしっかり作っているのに、それゆえにストーリーが破綻して低評価の嵐という、愛ゆえにやらかしてしまっている感があります。そんな不器用さがまた私は好きだったりするのですが。
本当にオマージュシーンをもう少し削ってストーリーをしっかりすればもう少し評価も高くなったかもしれませんが。とはいえそれをやったら可もなく不可もない凡作になってしまったかもしれませんが。
とにかく過剰すぎるくらい、変質的過ぎるくらいの80年代カルチャーへの愛がぶち抜けているという点については特筆すべきものがあるかと。それだけは間違いのないことだと思います。
というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。