CASSHERN



どうも、松本13です。

今回は、『CASSHERN』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『CASSHERN』は、2004年公開の日本映画。1973年から1974年にフジテレビ系列で放送された、タツノコプロによるテレビアニメ『新造人間キャシャーン』を原作とする実写映画である。


【あらすじ】

50年にも及ぶ戦争が繰り返され荒廃した世界では、不治の病である公害病が蔓延していた。ある日、謎の稲妻により命をも蘇らせることのできる細胞が完成。これにより、新たな生命体が産まれる。政府と新生命体、そして生き返った主人公の三つ巴の戦いが始まる…



キャシャーンはクソ映画やクソ実写として名高い『デビルマン』と並べて同じように評価されることも多いかと思います。


公開時期が近く、同じアニメ原作の実写化映画ということもあり、そのような評価がなされているのかと思うのですが。


ただキャシャーンはデビルマンと並ぶほどひどい映画ではないと思います。キャシャーンに関する評価は様々ですが、ひとまずデビルマンほどではない、その部分に関しては間違いのないことだと思います。


実際キャシャーンを見てない人がデビルマンと混同して叩いたり、敬遠したりしているというパターンも多々見受けられます。


実際にキャシャーンを見た人の、それなりに具体的な作品への言及のあるレビューなどを見てみると、そこまで批判的レビュー一色というわけでもなく、意外と面白かったという意見も多々あったりします。


私はキャシャーンという作品を比較的リアルタイムに近いタイミングで見たのですが、 意外と面白かったというのが正直な感想でした。


とはいえあの当時はキャシャーンが面白かったと素直に言いにくい空気感がありました。


キャシャーンからしたら完全に貰い事故の部分もあるのですが、しかしデビルマン公開時の空気感というのはそれくらい殺伐としていました。


20年以上経った今も語り継がれている伝説的クソ映画の公開直後なのですから、その空気感たるや相当なものでした。


私がキャシャーンを見た時に意外と面白いと思えたのは、その時すでにデビルマンと混同した叩かれ方をしており、作品に対して全くいいイメージを持っていなかったからでした。


デビルマンを抜きにしても、原作改変などについてのバッシングも公開前から多々ありましたし、商業映画初監督の紀里谷和明監督が、当時婚姻関係にあった宇多田ヒカルの曲が主題歌ということもあり、映画ではなく宇多田ヒカルのPVなどと言われたりもしていました。


とにかくいい噂は一つもなかったので、それなりの覚悟を決めて見てみました。そしたら意外と面白かったと、私個人の感想としてはそんな感じです。


デビルマンと混同して駄作扱いされがちなキャシャーンですが、そんな勘違いをしたまま駄作として見てみたら意外と面白かったという、私のような評価もそれなりにあったりします。


じゃあそんな予備知識を何もなしに見たとしたらどうなのか?


とはいえあの当時をリアルタイムに生きていたとしたら、あの当時のアニメ実写化に対する悪評は少なからず耳に入ったはず。とにかくデビルマンが巻き起こした影響というのはそれくらいに大きなものでした。


なのでもしデビルマンが無かったらキャシャーンは評価されたのだろうか?という部分については非常に判断が難しい部分であったりもするのですが。


そしてある意味面白いのはキャシャーンという映画は、何のバイアスもなしに視聴した際のフラットな評価というのがほとんどない映画だったりします。


もちろんバイアスゼロで評価がなされる映画なんてほとんどないかとは思いますが、とはいえ当時キャシャーンにかかっていた負のバイアスは少し異常なものがあったと思います。


しかし公開からある程度時間が経った今となっては、そんなバイアスなしに見たキャシャーンの感想というのも少しは見られるようになってきました。


そのような感想を参照すると問答無用の名作とは言わずとも、そこまで悪い評価は見受けられなかったりします。


比較的新しいレビューの中で指摘されているCGの質や映像の古さというのは少なくとも公開当時の邦画としては許容範囲内ではあったかと思います。


あくまで洋画ではなく邦画を比較対象としたら。


とはいえ紀里谷和明監督独特の映像表現や世界観はとても斬新で見ていて面白かったです。


少なくとも私はそういう視点でキャシャーンを見ていました。


個人的にはそういう映像だけの映画というのは好きなのですが、キャシャーンは映像だけの映画になりきれない部分も多々あったりします。


スタイリッシュな映像美だけで駆け抜けるにはキャシャーンの尺は長すぎます。上映時間はなんと141分。


個人的には90分前後の映像だけの映画だったらむしろ名作認定したいくらいなのですが。


ただキャシャーンという映画は141分の長尺に監督自身の作家性やメッセージ性がふんだんにちりばめられています。


その部分でまた賛否両論となっているのですが。


個人的には蛇足とまではいかないながらも、それらがない方が面白くなるんじゃないかなと思ってしまうくらいには退屈に感じてしまったというのが正直なところです。


そのような監督特有のエッセンスと言うか、紀里谷節というか、その部分についてはキャシャーンに限ったことではなく、紀里谷和明監督作品全般に言われがちなことではあったりするのですが。


個人的にその部分は特別好きでも嫌いでもないのですが、仮に自分の好きな漫画やアニメの実写化の際に、原作改変をしてまでそのような要素を持ち込まれたらめちゃくちゃむかつくだろうなとは思うので、キャシャーン公開の際の原作ファンからのバッシングというのもただ単に脊髄反射で騒いでるだけではないんじゃないかと思ったりもします。


そういう部分で尺が大分長くなっているので、どうしても退屈をしてしまう部分も出てきます。


アクションシーンが決して少ないというわけではないのですが、ドラマパートが異様に長いため、全体的にアクション濃度も薄くなってしまったりします。


おそらく監督がこの映画を通じて一番伝えたかったことが、一部の視聴者にとっては一番要らない部分だったりするので、それもなんだか皮肉な話だと思うのですが。


キャシャーンという映画はデビルマンと同じ時期に公開した同じような作品ということもあり、過小評価されすぎている部分というのもあるかと思いますが、デビルマンよりマシという評価に救われている部分もそれなりにはあるかと思います。


映像だけの映画というには長尺すぎ、頭を空っぽにして見れる映画としてはくどすぎる。


ただこの国で粗製乱造されてきたアニメ原作のクソ映画として一括りにしてしまうには惜しい作品かと思います。


生まれた時代や予備知識、原作愛など、見る人によってこれほど評価が大きく変わる映画というのもあまりないかと思うので、そういう意味では一度は見ておいても損はない映画かもしれません。


というわけで今回はこの辺で。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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