クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん



どうも、松本13です。今回は、『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』は、2014年4月19日に公開された日本のアニメ映画。『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第22作目。


【あらすじ】

しんのすけと遊んでいてぎっくり腰になったひろしは、不思議な雰囲気の漂う美女に誘われてオープンしたばかりだというエステサロンでマッサージを受ける事になる。しかし、エステを終えたひろしはどういうわけかロボットの姿になっていた…



この映画、クレヨンしんちゃん劇場版としては名作の部類に入るかと思うのですが、個人的にはかなり「惜しい」といった印象の強い作品だったりします。


この映画、現状でも十分面白いとは思うのですが、ただそれ以上のポテンシャルを秘めている作品だと思うんですよね。


それこそ名作中の名作になるくらいの。


それこそ『ルパン三世 カリオストロの城』とか『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とか、その位のレベルまでいけるポテンシャルのある作品だと思うんですよね。


父親たちの反逆をもうちょっとシリアスに描いたり、 ロボとーちゃんに関するエピソードに関してもゴリゴリの鬱展開に持ってくこともできましたし、存在だゴーストや何やと押井守作品のような方面に持って行くこともできましたし、何なら『ターミネーター2』方面に持っていくことだってできたと思いますし。


そっち方面でうまいことやったら本当にもう相当な名作になったんじゃないかと。


なんてことを私はこの映画に対して思ったのですが、そういう映画が見たければ最初からターミネーター2や攻殻機動隊を見ればいいわけで。


私のような偏った趣味の大人が大満足できるシリアス路線も鬱展開も必要ないんですよね。


だってこれクレヨンしんちゃんですから。


本当に大人は黙ってターミネーター2を見ておけばいいわけで、子供向け作品の劇場版で大人が変に満足感を得ようとするのって、それこそ感動ポルノだよなと。


ふと我に返り、この映画に対してあらぬことを考えたことを反省しました。


私個人としてはいわゆる「どら泣き」などの感動ポルノに関しては否定派なのですが、ただそんな私の中にでさえ無意識にそのような要素を望んでいる部分があるのだなと。


そんな気づきを得られただけでもこの作品を見た価値があったなと思いました。


私個人としてはいろいろ物足りない部分はあったのですが、ただクレヨンしんちゃんとしてはかなり思い切ったことをやっているわけで、現状でも結構ハードであったり鬱展開な部分もあったりしますし。


そういう展開も盛り込みながら、クレヨンしんちゃんらしさを失わないギリギリを攻めているという点に関しては、この映画は惜しいどころかもっと評価してしかるべきとも思いました。


本当にそういう視点で見るとこの作品、めちゃくちゃうまいことバランスが取れていると思うんですよね。


クレヨンしんちゃんの劇場版作品の中には良くも悪くもクレヨンしんちゃんらしさのない作品もありますし、ちょっとした感動ポルノとなってしまっている作品もあったりしますし。


私が引き合いに出したカリオストロやビューティフルドリーマーなどについても、まさに「らしさ」を犠牲にした上での名作の筆頭格であったりしますし。


ただこの作品はちゃんとクレヨンしんちゃんをしていると思うんですよね。


事件の発端はひろしのしょうもないスケベ心からだったりしますし、ちちゆれ同盟とかラストバトルとか、本来ならガッツリシリアスに見せる部分でふざけるのもある種のクレヨンしんちゃんクオリティですし。


この作品、そういう部分でちゃんと子供の方を向いてる気がするんですよね。


むしろこういう作品で大人の感性を満足させてくれというスタンス自体がよくよく考えたら傲慢だし、そういう傲慢さが国民的アニメの感動ポルノ化の原因になっている部分はあると思うんですよね。


劇場版アニメにありがちな感動ポルノって子供からすると全然面白くないんですよね。


もちろん面白い作品もそれなりにはあるかと思いますが、ただ私がかつて幼い頃に自分の慣れ親しんだ作品で感動ポルノをやられた時はただひたすらに気持ち悪かったことを今でも覚えています。


大人があれこれ画策して泣かそう泣かそうとしている、そういう感じってある種の気持ち悪さとして子供にもしっかり伝わるんですよね。


そういう意味でもこの作品、大人が見ても普通に楽しめますし、 子供の頃の自分がこの映画を見ても普通にクレヨンしんちゃんとして楽しめたと思うんですよね。


そういう意味では本当によくできた映画だなと。


大人から子供まで楽しめる映画って言うほど簡単じゃないと思うんですよね。


そう言われている作品は多々ありますが、その中の大半は大人か子供のどちらかがある種の忖度のようなものをしているからであって、本当に大人から子供まで純粋に楽しめる作品ってそこまで多くないと思うんですよね。


そういう意味ではギリギリを攻めつつも、あくまでもクレヨンしんちゃんらしさの中で完結しているこの作品、個人的にはめちゃくちゃ素晴らしいなと思いました。


青年向け漫画が子供向け国民的アニメとなった作品ゆえ、そもそものクレヨンしんちゃんらしさというのが人それぞれなので、その部分についても意見は分かれる所かもしれませんが。


ただそのような部分の面白さや、前述のような様々な考察や気づきを得ることができた点も含め、私個人的としてはとても有意義な 映像体験となりました。


そのような諸々を含めてみるにしても、ただ純粋にクレヨンしんちゃんとして楽しむにしても、とても素晴らしい作品なので、個人的にはめちゃくちゃおすすめです。


というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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