ストレイト・ストーリー
どうも、松本13です。今回は、『ストレイト・ストーリー』についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『ストレイト・ストーリー』は、デヴィッド・リンチ監督のロードムービー。1994年に「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された実話を基にしている。
【あらすじ】
アルヴィン・ストレイトは娘のローズと暮らす73歳の老人。ある日、10年前からの不和が原因でずっと会っていなかった兄が倒れたという知らせを聞いた彼は、350マイル(約560km)先の兄の家に向け、芝刈り機に乗り無謀とも言える旅に出る…
この映画、一見すると実話を元にした感動作、心温まるロードムービーみたいに見えたりもするのですが。
監督はデヴィッド・リンチなんですよね。
カルト映画の帝王と言われていたり、世界中の数々の映画賞を片っ端から受賞している巨匠中の巨匠。
よくも悪くも難解であったり、シュールであったり、一筋縄ではいかなかったり、極端な言い方をすれば、なんかよくわからない映画ばかり撮っているけれど批評家や映画好きからはいつも大絶賛されているみたいな。
とにもかくにもデヴィッド・リンチって頭を空っぽにして楽に見れるような分かりやすい映画を撮る監督じゃないんですよね。
そんなカルト映画の帝王が謎に作っためちゃくちゃ分かりやすい作品がこの映画でして。
才能って振れ幅と言いますが、やはり難解であったりシュールであったりといった、変化球を投げられる監督というのは直球でも勝負できるものなんですね。
本当にこの映画はド直球の人情系ロードムービー。
デヴィッド・リンチ監督の他の作品が一切分からないような人でも、この作品はめちゃくちゃわかるかと思いますし、なんかこの映画ってそういう所までデヴィッド・リンチが降りてきてくれたみたいな感じがしてとても好感が持てるんですよね。
なんか上から押し付けられるような作家性って理解する以前にちょっと反発したくもなってしまいますし。
作家性の強い難解映画を引き合いに出した老害ムーブやマウントみたいなのも昔からよくありますし。
ただこの作品はそんなあれこれ抜きに純粋に楽しめる本当にド直球な映画です。
ただデビッド・リンチらしさがないかと言ったらそういうわけでもなく、作品の端々からそれなりのエッセンスは感じられます。
確かに他の作品に比べると不条理さやシュールさは控えめな部分はありますが、とはいえまともに歩くこともできない老人が芝刈り機に乗って500km以上を旅するという時点で相当にありえない話なのですが。
ビジュアルがとても有名な映画なので、あまり疑問を感じない人もいるかと思うのですが、よくよく考えると芝刈り機に乗って老人が旅に出るってめちゃくちゃ非現実的な話だと思うんですよね。
ただこの手の映画にありがちな押し付けがましい感動とか説教臭さとかそういう過剰な要素は一切ないんですよね。
むしろ描写としてはかなり淡々としていたり。
ただそれがいいんですよね。妙にくどいところがないから何回も見てしまうみたいな。
そういうとっつきやすさもありつつ、ロードムービーならではのロマンもあったり。
普段この手の映画を見ない人でも、ストレイト・ストーリーだけは好きみたいな人も結構いますし。
個人的には脳筋アクション映画みたいなジャンルを好きな人の大抵はこの映画を好きなイメージです。
普段はヒューマンドラマを見ない人でも『スタンド・バイ・ミー』 はだいたい好きだったりするじゃないですか。それと同じ感じなんじゃないかと。
いわばちょっとした大人のスタンド・バイ・ミーみたいな。
スタンド・バイ・ミーって生涯において何度も見ることになる映画の代表格として語られることが多いかと思いますが、その部分はストレイト・ストーリーについても同様かと思います。
本当にストレイト・ストーリーも見るタイミングによって結構視点が違ってくるんですよね。
あっさりと見れることもあれば、本当に号泣してしまうようなこともあったり。
そういう意味でも一度は見ておいて損は無い映画かと思います。
気に入る人は本当に一発で大好きになる映画かと思いますし、仮にこの映画を見て何も感じないというのもそれはそれでかなり貴重な経験かと思うんですよね。
昔は何も思わなかったけど年を取ってから見るとめちゃくちゃいいみたいな、そういう経験って年齢によってはしたいと思ってもできなかったりするので。
妙なアクの強さもなく、押し付けがましくもなく、お茶の間を凍りつかせるようなシーンもないので、この映画に関しては本当に全方位に自信を持っておすすめできる 、生涯で一度は通っておいて絶対に損はない映画だと思います。
と言う訳で今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。