シン・仮面ライダー

 


どうも、松本13です。今回は、『シン・仮面ライダー』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『シン・仮面ライダー』は、2023年3月18日に公開された日本映画。監督・脚本は庵野秀明。


【あらすじ】

謎の組織「SHOCKER」によって人体改造された本郷猛。彼は博士とその娘と組織から逃亡したものの、博士が殺害されてしまう。やがて、彼は「仮面ライダー」を名乗り、残された娘と共に組織に立ち向かっていく…


この映画はかなり賛否が分かれた映画かと思います。


私個人としては決して駄作ではないかと思うのですが、ただ『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』ほど手放しで絶賛できる作品かと言ったら、そうではないかと思います。


シン・ゴジラやシン・ウルトラマンは文句なしだったんですよね。本当にあっという間の2時間でした。


ただシン・仮面ライダーに関しては後半30分くらいはちょっとダレてしまったというのが正直な所です。


初代仮面ライダーはリアルタイムではないものの、通ってはいるので一部からツッコミの入った怪奇要素や変身ポーズの有無、作品全体のケレン味などについては、おおよそ監督の意図通りに受け止められたかなと思います。


その部分を考慮してもやはり終盤はちょっと微妙だったかなと。


決して駄作ではないのですが、ただこの作品を肯定する際、なんやかんやで理屈をこねてしまう時点で、そうしなければ肯定できない時点で多少なり難のある作品なのかもしれません。


そもそも仮面ライダーにおいての正解というのが、ゴジラやウルトラマンほど明確ではないような気がします。


もちろんゴジラやウルトラマンについても人によって、世代によってそれぞれ違いはあるかと思うのですが。


とはいえ仮面ライダーほどは極端ではないかと思います。


この映画に少なからずの正解を感じられる人は多分、リアルタイムかガチ勢、もしくはそれなりに正確に仮面ライダー史を理解してる人に限られるんじゃないかと。


初代以降の昭和ライダーで育った人にとっては初代よりも原体験した仮面ライダーが正解だったりすると思いますし。


昭和ライダーから平成ライダーまでの休止期に育った世代にとっては、他の世代ほど共通の仮面ライダー感というのがないと思いますし。


平成ライダーが原体験という人にとっての正解は昭和ライダー勢とはこれまた違ったりしますし。


ただ昭和ライダーに慣れ親しんだ側からすると、平成ライダーの多くは良し悪しは別として仮面ライダーではなくメタルヒーローに感じられてしまう部分もあったり。


実際この映画に「オリジン」を感じられた人ってそこまで多くはないと思うんですよね。


もちろんこの映画に十分オリジンを感じられた人もいるかと思いますが、オリジンの方向性としては2005年公開の『仮面ライダー THE FIRST』の方が良かったと思う人もいるかと思いますし。


私のように1992年の『真・仮面ライダー 序章』の方が、と感じる人もそれなりにいるんじゃないかと思います。


それに加えてシン・ゴジラから始まる一連の「シン」作品に対してのちょっとした忖度のようなものもある気がします。


シン・ゴジラというのは、あまり良くない終わり方をしたミレニアムシリーズ以降沈黙していた国産ゴジラが、ハリウッド版ゴジラが世界的な大成功を収めた後のタイミングで公開された作品。


ハリウッド版も1998年のアレに比べたら悪くはないんだけれどなんかちょっとコレジャナイ感も あったり、とはいえそこまで悪くはないから贅沢も言えないか、とも思ったり。


どちらにしてもこれからは資金力のあるハリウッドが主流になっていくのだろうなとちょっと寂しくもあったり。ただゴジラ映画が作られないよりはずっとましだから贅沢は言ってられないなと言い聞かせている部分もあったり。


なんてちょっとモヤモヤしていたところに「これがゴジラだ」とばかりに大正解をぶち上げたシン・ゴジラは本当に歴史的な名作と言っても決して大げさではない作品であり、実際シン・ゴジラがなければ国産ゴジラの立場というのは今とは大分違ったものになっていたと個人的には考えています。


シン・ゴジラというのはそれくらいに強烈な作品であり、思い入れやある種の恩義のようなものを感じていたりするのは私だけではないかと思います。


それに加えてこれまで何度も休止期を経験してきた特撮ファン特有の、「これがコケたらまた休止しちゃうかもしれないから滅多なことは言えない」みたいな妙な緊張感もあったりして。


それより何より監督の庵野秀明という存在がまず前に出てきたりして。


エヴァ特有の演出で、見る度にデカデカと表示されるので覚えようとしなくても覚えてしまったその名前。


それに加えてエヴァはテレビ放映当時から劇場版、新劇場版、ガイナックスの諸々まで、とにかく制作サイドのゴタゴタに関する話がついて回り、しかもそれらが製作裏話なんてレベルではなく、実際に作品の内容にまで影響を与えることもあったり。


フィクションにおける第4の壁破りというのは少なからずあると思うのですが、大抵は作品の中から外に向かって破壊されるもの。


が、庵野秀明という監督は外側から作中に向かって第4の壁を破壊し、影響をおよぼしてくるという意味不明なことをやってのけた監督で、それ故に特殊な意味を持っており、しかもかなり不安定。


制作が発表されてもどうなるかわからないし、公開されたって何が起きるかわからない。何をやらかすかわからない。そんな妙な緊張感が未だにあったり。


エヴァでは散々待たされたけどシンゴジラでは特撮を救ってくれた、そんな庵野秀明という監督に対しての愛憎というのがより一層シン・仮面ライダーへの評価を複雑なものにしていたり。


その部分の感情が強烈なだけに作品単体での評価はもはや不可能だったり。


どんなに意識しても何かしらのバイアスがかかってしまいますし。


ただ評価の面では私のような層のバイアスに少なからず救われている面もあるんじゃないかと。


そういう意味では庵野秀明にも仮面ライダーにも特撮にも何の思い入れもない層のシンプルな面白い/面白くないがもしかしたら一番的を得た評価なのかもしれません。


ちなみにこの映画がAmazonプライムで公開された後に、同じくプライムで公開中の『仮面ライダー BLACK SUN』の低評価がかなり増えたのはとても興味深い現象でした。


シン・仮面ライダーの口直しにと思って見てみたら往復ビンタを食らってしまった人による低評価かと思うのですが。


というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。




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