ミッドサマー
どうも、松本13です。今回は、『ミッドサマー』についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『ミッドサマー』は、2019年公開のホラー映画。監督はアリ・アスター、主演はフローレンス・ピュー。
【あらすじ】
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と5人でスウェーデンの奥地で開かれる「90年に一度の祝祭」を訪れる。しかし、それは想像を絶する悪夢の始まりだった…
この作品、もはや語るべくもない名作、もしくは怪作と言っても過言ではないレベルかと思うのですが。
もしこの映画をまだ見たことがなければ、精神的な警戒レベルを最高レベルにして見ることをおすすめします。
そうやって見てもなお、相当なダメージを受けてしまうかと思いますが。
今作の監督であるアリ・アスターって本当に絶妙に人を不安定にさせる術に長けた監督だと思うんですよね。
最大限に警戒をしていてもなお、絶妙な隙間から絶妙に狙って来るんですよね。
最も見たくないものをめちゃくちゃ見せてくるからそれが嫌で顔を背けるも、その背けた方向にそれ以上に最悪なものがあるみたいな。
アリ・アスターという名を世界に知らしめた長編デビュー作である前作、『ヘレディタリー/継承』についても、シャレにならんレベルでの地獄のような作品でしたが、前作はまだホラー映画としての分かりやすさはかなりあったと思うんですよね。
もうそのビジュアルからホラー丸出しであった前作に比べると、今回はビジュアルにしても内容にしても、よりテクニカルに心をえぐってくる仕様になっているんじゃないかなと。
前作でアリアスター監督作品の傾向を知り、警戒レベル最高で
鑑賞に臨んでもなお、相当な ダメージを受けたので。
作品の傾向を知り、その上で最高レベルの警戒をしてもその隙間を縫ってダメージを与えてくるって、よほどのテクニックがないとできないことだと思うんですよね。
本当にアリ・アスター作品ってそのテクニカルさの最悪さが最狂だと思うんですよね。本当にどれだけ 「最」の字を使っても足りないくらい。
この映画、パッと見のビジュアルはミキプルーンのCMみたいな感じなのですが、内容はまあひどいことひどいこと。
口にするのも憚られるような物事からうまく言語化できない感覚までとにかく最悪さや不快さのオンパレード。
普通に生きていたらなかなか経験することのない、心が侵食されるような不安定な経験をできることは請け合いです。
そういう最狂コンテンツとしては相当に優秀な作品かと思います。
この作品で味わう最悪さって多くの人にとっては共通言語だと思いますし。
めちゃくちゃ語りたくなる映画だと思うんですよね。ネタとしても相当に優秀ですし。
何て言うかアリ・アスター映画って、一度通ると妙な「経験者」感が得られると思うんですよね。
「向こう側」感と言うか。
実際この映画が公開された時、一見するとドラマ映画やハートウォーミングな内容とも取れるビジュアルに、 「今回も相当な被害者が出そうだな」 みたいな、アリ・アスター作品経験者ならではのちょっとした加害者目線というか、妙な共犯関係みたいな空気感って少なからずあったと思うんですよね。
この作品についてはもちろんのこと、次作である『ボーはおそれている』の時もそうだったのですが。
そういう現象も含め、他ではなかなか得ることのできない感覚を味わうことができる映画なので、グロや精神汚染、胸糞やトラウマ要素に問題がないのであれば、一度は「経験」しておいても損はない映画かと思います。
もう本当にうんざりするような最悪な描写の連続なのですが、ただ映画としては抜群に面白いんですよね。
2時間オーバーの長尺なのに時間が過ぎるのが本当にあっという間。
アリ・アスター監督作品ってもう本当に最低な気分になるうんざりするような映画ばかりなのですが 、にもかかわらず、「早く終わってくれ」みたいな冗長さを全く感じさせないのは本当にすごいことだと思います。
鑑賞ストレスの塊のような2時間オーバーの映画を最後まで見せるって並大抵のことではないと思うんですよね。
どちらにしてもアリ・アスター という監督の名前は覚えておいて損はないかと思います。
よくも悪くも新作が公開されれば相当な話題になるので、何かの拍子に間違った認識で見てしまうというような不幸な事故を防ぐためにも。
長編デビュー作である前作は悪夢のようなホラー、 そして今作はガワは普通っぽく擬態した白昼夢のようなサイコロジカルホラー。
そして次作はコメディと、 どんどん入り口を広げてテクニカルになってきているのが本当に恐ろしいところなのですが。
というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。