リバー・オブ・グラス



どうも、松本13です。今回は映画、『リバー・オブ・グラス』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『リバー・オブ・グラス』は、1994年のアメリカのドラマ映画。アメリカのインディペンデント映画作家として最も高い評価を受ける一人とも評されるケリー・ライカートの長編デビュー作。


【あらすじ】

南フロリダ郊外の平屋建ての家で暮らす30歳の主婦コージーは、退屈な毎日に不満を募らせていた。そんなある日、地元のバーへ出かけたコージーは、うだつの上がらない男リーと

出会い親しくなるが…


余談ですが、この映画のタイトルがなんとなく似ていたのもあり、岡崎京子の漫画『リバーズ・エッジ』をふと思い出しました。


もちろん中身は全くの別物なのですが、ただなんとなく作品の持つ雰囲気というか、マイナー感やオフビートさ、乱暴に言うと大昔のヴィレッジヴァンガードのようなサブカル感、そして作品の持つある種の空虚さみたいなのは少し似ているように感じました。本当になんとなくなのですが。


インデペンデント映画の巨匠ケリー・ライカートのキャリア初期作品ということもあり、知る人ぞ知る映画といった位置付けの作品かと思うのですが。


とても素晴らしい映画なので、この映画はもっと多くの人に知られて欲しいです。


とはいえこの手のインデペンデント映画を何の予備知識も、抵抗もなくすっと見れる人はそこまで多くはないかと思います。


だってこういう映画ってなんか難しそうだし。退屈だったり説教臭かったり、なんか意識高いオーガニック系な人が好んで見たりするような。


しかしこの映画はインデペンデント映画どころか『インデペンデンス・デイ』大好きな大味映画好きのような私にもわかる映画です。


B級映画やアクション映画を主食としている私にとって、基本的にインデペンデント系の映画というのは完全に「向こう側」の存在なのですが、向こう側からこちら側にもしっかり伝わる名作というのも多々あるのですよね。


例えばデヴィッド・リンチの『ストレイト・ストーリー』のような。


デヴィッド・リンチの他の作品はともかく、ストレイト・ストーリーに関しては、普段デビッド・リンチの映画を見ない層からの支持が非常に厚い作品だと思います。


個人的な感覚だと一昔前のシュワちゃんやスタローン主演の筋肉アクション好きな人は大抵ストレイト・ストーリーが好きなイメージ。


多分この作品もそんなストレイト・ストーリーに近い魅力のある作品かと思います。


この手の映画を語る際、「インデペンデント映画の巨匠」と「オフビート」って言葉を使えばなんとなくそれっぽく語れちゃうみたいなきらいがあるかと思うのですが。


ついそういう言葉に頼りたくなるのは、この手の作品を語るにはそれなりの語彙力が必要だからだと思います。


それらを用いず、小並感な感想で言えばこの映画は、「なんかよくわかんないけど何かいい」、そんな感じです。


ゾンビとか出てこないしド派手なドンパチも全くない地味な映画ではあるのですが、ただ地味ではあるものの退屈では全くないんですよね。


そこがケリー・ライカート監督のすごいところだなと思います。


紆余曲折あっての男女の反社会的な逃避行。


それだけ聞くとボニーとクライドの『俺たちに明日はない』そのままだったり。


『俺たちに明日はない』でなくとも、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』や『トゥルー・ロマンス』など、人によって思い浮かべる作品は様々かと思いますが。


それらの作品の共通するところは主人公がめちゃくちゃ魅力的なところだと思うのですよね。それこそ中学生が見たら絶対憧れちゃうくらいに。中学生じゃなくとも憧れちゃうかもしれませんが。


しかしながらこの作品の主人公はスタイリッシュさのかけらもないもっさりとした男女。なんなら若さもない。髪の毛もあまりない。


そんなチンピラと日常に退屈した人妻が紆余曲折あっての逃避行となるのですが、そこでの行動がいちいち地味でせこい。


金も甲斐性もなく、そのくせ上昇志向とプライドだけは一丁前な、底辺チンピラを絵に描いたような男。


ただ女性に頼ろうとはせず、「俺が何とかするから任せとけ」みたいな虚栄心はかろうじてあるところが余計にリアルだったり。まあ結局どうにもならず、全く頼りにならないのですが。


絶対「歳とったら喫茶店やりたい」とか言い出すタイプですね。


そんなチンピラに比べたら人妻の方は随分まともなように見えたりもするのですが、ただチンピラのような分かりやすいダメさはないものの、人間として必要な部分が大きく欠落しているような妙な不気味さがあります。


こういうチンピラ夫婦って現実にもよくいると思うのですが。


パッと見旦那の方がやばくて奥さんかわいそうみたいなイメージなのですが、旦那は虚勢張ってるだけの小物で、実は本格的にやばいのは奥さんの方だった…みたいなパターン。


そんな2人が全く絵にならない逃避行を続けていくのですが、これは一体どうやって話がオチるんだろうと思ったらまさかの…


個人的にこの終わり方はめちゃくちゃ好きです。


過度にシュールだったり投げっぱなしエンドというわけではなく、話の筋もとても面白いです。


そしてただ面白いだけでなく、しっかりと心に残るもののある映画。それが何かはうまく言語化できないかもしれないし、無理に言語化する必要もないかと思いますが。


とはいえもっさり男女のしょうもない逃避行に2時間以上も付き合わされたらさすがにきついかもしれませんが、この映画の上映時間は76分。


そういうお手軽さも含めてこの映画はとてもおすすめです。


アクション映画が主食でもたまにはこういう映画が欲しくなるときもありますし。


揚げ物ばっかり食べていると妙に小鉢が欲しくなったり美味しく感じたりするじゃないですか。


そういう小鉢的存在として、この作品はうってつけですし、そのような選択肢としてケリー・ライカートという監督の名前も覚えておいて損はないと思います。


ちなみに先に言及したインデペンデンス・デイもとても面白い映画なのでおすすめです。インデペンデンス・デイは何回見てもいいですからね。


というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。




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