鮫肌男と桃尻女


どうも、松本13です。今回は映画、『鮫肌男と桃尻女』についてです。


まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『鮫肌男と桃尻女』は、望月峯太郎の同名漫画を原作とした、1999年の日本映画。監督は石井克人。主演は浅野忠信。


【あらすじ】

ホテルを経営する偏執的な叔父に嫌気がさして、家出を決行した女性。そんな彼女の前に、獣道から突然パンツ姿の男が現れる。彼は組織の金を持ち逃げし、ヤクザから追われていた。そして、二人はともにあてのない逃避行へと出る…


この映画、ジャケットにかなりのインパクトがあるのと、かつてはレンタルビデオショップの邦画コーナーにかなり目立つように置かれたりしていたことも多かったので、なんとなくこのジャケットに見覚えがあるという人も多いはず。


じゃあこの映画を実際に見たことがあるという人がどれほどいるかと言ったらそこまで多くはないかと思うのですが。


あと見たとしてもかなり昔の映画なので内容を忘れていたり、他の映画とごっちゃになっていたり、他の映画の内容をこの映画と勘違いしていたりする人もそれなりにいるんじゃないかと。


というのもこの時代の日本映画、特にこの映画のような、映画好きならば普通に知っているけれど興味がない人は全く知らないくらいのマイナーな日本映画はどれも独特の尖り方をしていたと思うんですよね。


ロックでアナーキーで、それでいてなんだかよくわからないエネルギーに満ちていて、90年代のマイナー邦画って本当になんだかよくわからない勢いのようなものがあった気がします。


それゆえに作家性が暴走しまくっている視聴者を置き去りにするような迷作も多々あったのですが。


そんな今とは少し違う独特の空気感が満ちていた90年代のマイナー日本映画において、長瀬正敏か浅野忠信が出ている映画を見ておけばだいたい間違いがないみたいなノリって結構あったと思うんですよね。


とにかくこの2人のどちらか、もしくは両方が出ている作品には外れはなし。


映画としての面白さはともかく、少なくとも当時のマイナー邦画っぽい雰囲気を味わえるという意味では、本当にこの2人の主演映画にはハズレがなかったかなと。


そんな90年代のマイナー邦画の中で、個人的にこの映画は頭一つ抜きん出た面白さのある作品だと思います。


今の感覚で言うとB級洋画のような、そんなノリや雰囲気のある映画かと思います。


クエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスなどのB級ノリな作品に近い感覚で楽しめるんじゃないかと。


石井克人監督自身がタランティーノ・ファンということもあり、それなりに意識して作られた部分もあるかと思うのですが。


特にこの映画が作られた90年代ってタランティーノがまだ今よりも新進気鋭だった時代、かつそれらの演出がスタンダードとなる前なのでその影響力は絶大でした。


それこそ世界中でタランティーノっぽい演出の映画がたくさん作られたのですが、タランティーノ演出って、サラっとやっているようで実は結構なセンスが必要だったりするんですよね。


なのでそこまでのセンスがない人がやると、ただ変なやつが延々とつまらない話をしているみたいな、ただ見てるこちら側としては「ああ、タランティーノっぽいことをやりたいんだろうな…」みたいな痛々しさだけは伝わってくるいたたまれない作品になってしまうのですが。


実際90年代って洋邦問わずそういう作品が多々あったりしたのですが、この作品にはその手の痛々しさはゼロ。


めちゃくちゃセンスの溢れる映画です。バランス感もかなり良かったりします。


前述したことですが、この時代のマイナー邦画は作家性が暴走しすぎて視聴者が置いてけぼりになるみたいなことが多々あったのですが、この映画は監督独特のセンスや作家性などがありつつも、ただ大衆性もそれなりにあったり、シュールさもあるのだけど、ただ意味不明ではないみたいな、そういう意味でのバランス感覚が非常に優れた映画なので、普通に一般の映画としても楽しめる映画です。


それこそ頭を空っぽにしてお菓子やコーラ片手に。


この時代の邦画にちょっと苦手意識を持っていたり、そもそも邦画自体がちょっと苦手だったりという人もいるかと思うのですが。


私としても邦画に関しては全てではないにせよ、ちょっと不信感を持っている部分もあったりするので、ジャンルや監督によっては敬遠したりもしているのですが。


ただこの作品はそういう邦画の良くない部分ではなく、邦画ならではの良い部分がよく出ている映画なんじゃないかと思います。


とにかくめちゃくちゃ面白いし、見ていて退屈することがない映画です。


出演陣も日本映画界の名バイプレイヤーが揃っているめちゃくちゃ豪華なメンツ。


組の金を持ち逃げしたヤクザをヤクザが追うという、ストーリーだけ見ると普通にヤクザ映画なのですが。


ただこの映画はヤクザ映画というより殺し屋映画に近い作品かと思います。


それこそB級洋画にありがちな、一人のターゲットを巡って殺し屋が全員集合しちゃう系の映画のような。


そしてそれらの殺し屋がまたそれぞれキャラが立っていて素晴らしいんですよね。漫画原作ということもあり、いい意味で漫画的というか。


個人的にこの映画の一番素晴らしいと思う部分は、それだけ多くの殺し屋が登場するにも関わらず、ダメ邦画にありがちなナイフペロペロしちゃう系のテンプレタイプな殺し屋が1人も登場しないということ。


テンプレタイプの殺し屋と言うと、ナイフペロペロしちゃうギャハハ系なヒャッハータイプか、セリフ棒読みな感情死んだ感じのイケメンのどちらかな印象があります。


殺し屋にしてもサイコキラーにしても、それらのテンプレが多いのは、それらは大した想像力や演技力がなくても演じたり造形したりすることができるからだと思います。


なのである意味殺し屋作品というのはめちゃくちゃ作り手や演じ手のセンスが問われたりするのですが、この映画はその部分のセンスが本当に素晴らしいんですよね。


ありがちなテンプレに頼ることがなく、にもかかわらずそれぞれにキャラが立っていて、しかもみんなめちゃくちゃいい味出してます。


そういう内容的な素晴らしさはもちろんのこと、この時代のマイナー邦画にありがちなエログロバイオレンスみたいなノリもかなり控え目なので、そういう意味でも見やすい作品だと思います。


時代背景なども含め特筆するべき点は多々ある作品なのですが、とはいえあれこれ御託抜きに見てもめちゃくちゃに楽しめる映画なので、B級洋画や殺し屋映画が好きな人にはとてもおすすめな作品です。


というわけで今回はこの辺で。最後まで付き合いいただきありがとうございました。


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