鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
どうも、松本13です。今回は、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』についてです。
まずは簡単な概要とあらすじから。
【概要】
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、2023年11月17日公開のアニメーション映画。水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』を原作とする劇場用作品。
【あらすじ】
山奥の小さな村を訪れたサラリーマンの水木は、生き別れの妻を捜して村にやって来た鬼太郎の父に出会う。やがてふたりは、村に渦巻く恐るべき謎と怪奇に足を踏み入れてゆく…
この映画、めちゃくちゃ面白かった、というのはちょっと表現として適切ではないかもしれませんが、とにもかくにもとてもいい映画でした。
鬼太郎って何かしらの作品展開がある度に、おどろおどろしい最初期の作風が好きな層がぼやくみたいなのって、もはやちょっとした定番だったと思うのですが。
今回はそんな最初期の作風が好きな層にもかなりぶっ刺さる内容だったんじゃないかと思います。
絵柄についてはそれなりに賛否は分かれるかと思うのですが、とはいえここまで最初期の水木しげるイズム全開な作品もそうはなかったと思います。
今作は鬼太郎作品ですが、普通に怖いしめちゃくちゃエグい完全大人向けな作品。
子供向けではない、というより子供には見せられない内容だったりします。
とにかくめちゃくちゃ見応えがあるんですよね。
それなりにポップなアイコンとなった国民的キャラクターを初期の路線に戻すのって簡単なことじゃないと思うんですよね。
しかも多くの人から評価される内容となると相当に難しいことだと思います。
それを見事やってのけたこの作品は本当に素晴らしいなと。作り手のセンスや技量はもちろんですが、相当な熱意や原作へのリスペクトがないとできないと思うんですよね。
長く続いたシリーズの原点回帰って言うほど簡単じゃないと思うんですよね。
実際大抵の原点回帰って迷走しただけで終わるパターンが多いですし。
国民的アニメの劇場版って泣ける方向に持って行きがちだと思うのですが、そういう方面に微塵もぶれないで独自路線で勝負したこの作品、個人的にはめちゃくちゃ評価したいです。
しかもストーリーもめちゃくちゃ面白いんですよね。
いわばゲゲゲの鬼太郎のエピソードゼロの話。しかも完全オリジナル。
なのに蛇足感は一切なし。
むしろこれまで謎だった部分がめちゃくちゃ腑に落ちるんですよね。エピソード0としては本当に100点満点と言ってもいいくらい。
まさに「ゲゲゲの謎」のタイトルに偽りなし。
鬼太郎が産まれる際の両親はどうしてあんなことになっていたのだろうか?という部分って、これまでは結構謎な部分も多かったのですが、この作品で本当にめちゃくちゃ綺麗につながったんですよね。
この映画のラストで「あーそういうことか」と、「そういうことだったのか」と、膝を打ったのは私だけじゃないはず。
肉体が存在していた頃の目玉おやじも含め、一癖も二癖もある登場人物も皆魅力的。
現代の感覚で言うとかなり香ばしい性格の登場人物が多いのですが、ただ戦後という時代背景を考えるとある意味リアルだったり。
この作品、原作へのリスペクトはもちろんなのですが、水木しげるの強烈な戦争へのアンチテーゼという部分も、これでもかというくらいに盛り込まれています。
水木しげる作品と反戦って切っても切り離せないテーマですし、ゴジラと核と同じように決して雑いじりしちゃいけない部分だと思うんですよね。
反戦って言葉だけだとちょっと綺麗事に感じられるかもしれませんが、ただ水木しげるの反戦って全然綺麗じゃないんですよね。
むしろめちゃくちゃ汚くて醜い。
水木作品って絶対に戦争を美化したりしないですからね。
実際に経験して地獄を見た人間の言う事って本当に説得力が違うと思うんですよね。
世界的には決して平和とは言い難い時代ですし、ロジックとしての「戦争やむなし」もわからないではないのですが。
ただどこかの誰かの戦争ではなく、強制的に戦争に駆り出される人間にとってはロジックではなく生死に直結する話なわけで。
ロジックだけで戦争を語るのってとても危険なことだよな、なんてことも含め、昨今の世界情勢も相まって色々と考えさせられた作品でもありました。
そういう部分の水木しげるイズムもしっかり継承して、しかもめちゃくちゃ上手い形で語り継いでいるという部分でもこの映画は本当に素晴らしいなと。
テレビシリーズのようなポップさはゼロ。むしろめちゃくちゃ暗くて重くエグい内容ですが、その手の作風が苦手でなければ一見の価値はある作品かと思います。
予備知識はなくても楽しめる作品ですし。鬼太郎と目玉のおやじくらいは誰でも知っていると思いますし。
ただ事前に鬼太郎の出生についてある程度予習をしておいた方がよりこの作品を楽しめるんじゃないかと思います。
逆にこの作品から初期の鬼太郎に入るというのもありかと思いますが。
というわけで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。