ガス人間



どうも、松本13です。今回は『ガス人間』についてです。今回は映画ではなくドラマなので、番外編程度とお考えください。ということで、まずは簡単な概要とあらすじから。


【概要】

『ガス人間』は、2026年7月2日にNetflixで配信された配信ドラマ。1960年に制作・公開された『ガス人間第一号』を題材としている。


【あらすじ】

生放送中のテレビ番組で、出演していた大学教授の身体が突然膨張し爆死する惨事が発生。謹慎中だった刑事の岡本賢治は、現場に居合わせた元婚約者の記者・甲野京子とともに捜査を始める…


​カルト的な人気を誇る東宝特撮映画のリメイクとなる本作。

​個人的に映画に比べると、ドラマってそこまで積極的に見るものではないのですが、ただ原作が東宝の名作映画でして。それに加え、製作総指揮と脚本が『新感染 ファイナル・エクスプレス』などのヨン・サンホと、『岬の兄妹』や『さがす』などの地獄のような映画を世に送り出している片山慎三が監督でして。

​どちらも個人的には非常に信頼しているクリエイターなんですよね。

​とにかく心をゴリゴリに削ってくる片山慎三監督の作風と、それなりにキワモノな題材やテーマを選びつつも、大衆性は失わないバランス感覚に優れたヨン・サンホのタッグということで。その部分がうまいこと機能したらとんでもない傑作になるんじゃないかと期待していたのですが、実際に見てみると、その期待を大きく上回る大傑作でした。本当にめちゃくちゃ面白かったです。

​ただ、一般的な評価は決して低くはないものの、そこまで突出して高くはないのが驚きでした。

​確かにオリジナルを意識すると、ちょっと評価が違ってくる部分はあるかと思いますが。CGがない時代に見たガス人間の衝撃って今の比ではなかったかと思いますし。

​ドラマとしての脚本の荒さの指摘も結構あったりもしますし。確かにリメイク云々抜きにドラマとしてシビアに見れば、ちょっと評価が伸び悩んでしまう部分もあるかもしれませんが。

​ただ、原作の方も原作でそこまで緻密な作品というわけではないんですよね。むしろストーリーは結構大雑把だったりしますし。

​その部分を本当にうまいこと広げて全8話構成にしている部分は、個人的にはむしろ評価したい部分だったりするのですが。

​主演の小栗旬と蒼井優という、何の意外性もないキャストみたいな部分も賛否が多少分かれるかもしれませんが。

​ただ、原作って特撮作品ではあるものの、ストーリーはラブストーリーなんですよね。

​ゆえにそっち方面のストーリーやキャストでやらかす可能性も大いにあったわけでして。ただ今作、原作とはまた違った形で愛というものを描いていまして。その描き方、そして締め方が本当に秀逸なんですよね。

​そしてそこを、小栗旬と蒼井優という意外性はないかもしれませんが、とはいえ最高に安定感のある主演の2人、しかもちょっとくたびれた中年2人の組み合わせは本当に絶妙だったんじゃないかと。

​キャスティングといえば、今作でガス人間を演じるのは演技初経験のモデルのUTAでして。ただ彼の演技が初挑戦とは思えないくらいに素晴らしくてですね。さすが準備に3年かけただけあります。

​今作って知名度のある東宝特撮を雑リメイクした軽率な作品というわけではなく、むしろすでに平成には「いにしえの名作」くらいの扱いだったカルト作品を掘り返した上に、めちゃくちゃ手間とお金をかけてリメイクした作品なんですよね。さすがNetflix。

​そして脇を固めるのはピエール瀧をはじめとした日本映画界を代表する名優たちでして、竹野内豊や高嶋政伸などは言われないと本人だと気づかないような役を演じていまして、その部分もちょっとした見どころかと。

​ストーリーの大雑把さの指摘については、個人的にはむしろいい意味での軽さだと思っています。

​片山慎三監督のエッセンスが強すぎると、作品としては面白いながらとんでもなく重たい作品になってしまいかねませんし。

​ただ、ヨン・サンホのエッセンスが全開だと、見やすくはあるしテンポはいいのだけれど、ちょっとご都合主義な韓国ドラマになってしまいかねませんし。

​そんな監督と脚本のエッセンスのバランスやせめぎ合いという部分も、非常にうまいことできていると思うんですよね。

そこそこのテンポはありつつ、基本的には胸糞で頭のおかしな人しかいない、みたいな。

​それに加え、本作で印象的に使われているサザンの名曲『いとしのエリー』が、もうとにかく素晴らしくてですね。もはやこのドラマ自体がちょっとしたMVになってしまっている感もあるのですが。

ただ場合によっては、​原作の知名度に乗っかっただけの、演技初挑戦の棒読みモデルを客寄せパンダに使ったうすら寒いラブストーリーとなる可能性だって大いにあったわけでして。

​にもかかわらず、何かと扱いの難しい昭和の名作特撮映画を本当にうまいこと現代版にリブートできている部分は、本当に素晴らしいと思うんですよね。

​そのような原作要素や、片山慎三やヨン・サンホのような制作陣に関する知識・補正要素を持って見ると、本当に今作、相当な傑作になると思うんですよね。

​その部分の知識や補正要素がないと、ちょっとシビアな評価となってしまう可能性もありますが。

​ただドラマ単体としてもかなりクオリティは高いと思いますし、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さるタイプの作品だと思うので、一度は見ておいても損はないんじゃないかと。

​個人的にはめちゃくちゃおすすめです。

​ということで今回はこの辺で。最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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